第7章 伝えたい……でも伝わらない
樹輝side
「ん……?」
目が覚めるとヒカルが俺の手を握ってしゃがんだまま眠っていた。
時間は夜中2時……
あのまま寝てたのか……
ヒカルは無意識でこんな事してるんだろうが……それが本気に感じてしまう……
重症だな……
「イツキ?」
「悪い、起しちまったか?」
「ううん、大丈夫……イツキはもう大丈夫なの?……」
「……あー……だいぶいいみたいだな。」
「良かった……はっ!ごめん!」
ヒカルがいきなり慌てて手を離す。
「……別にいいけど?」
「だ、ダメだよ!」
また……まただ……
胸がドキドキして苦しい……
そう言えば……ヒカル知らないよな……
伝えとく方がいいな……
「ヒカル……ちょっと聞いてくれ。」
「ん?」
「お前、将樹の家に言った時……寝てただろ?だから知らないと思うから……」
「うん……」
「俺とお前は異体同心の関係なんだよ。」
「いたいどうしん?」
「……俺とお前は体が違うけど、感情や痛みも相手に伝わるんだよ。例えば、お前が何か苦しんでいれば俺も苦しい、俺がどこか怪我をすればお前もその部分が痛む。こういう関係になってるだよ。」
ちょっとヒカルには難しいかな……
「なに、それ……じゃあ、ソウタの時も……イツキは痛み感じてたの?」
「まぁな。けど、お前はすぐに治るから痛みもすぐ消えたよ。……お前、今何考え込んでんだ?ずっと胸が痛むんだが……」
「へ?!////」
この反応……何かあるのか……
「……何も……ない!////」
ヒカルは駆け出してしまった。
「どこ行くんだ!?」
「お風呂!」
「……そっか……」
無駄に聞かない方が良さそうだな……