第5章 颯太の本性
颯太side
そして、いつの間にかいっくんに名前も覚えられて、普通に話せるようになってて……
嬉しかった。
いっくんと一緒に登校したくて、わざわざ遠回りしていっくんの家に向かっていた。
いっくんが見えて名前を呼ぼうとした。
でも、どこか遠くを見つめていた。
それがあの施設にいる男の子だった。
その子を見つめる目は今までに1度も見たこと無かった。
その時、すぐに分かった。
いっくんはあの子の事が好きなんだって。
全然俺に気づかないくらい見とれていたんだ。
毎日毎日その目であんな風に見つめられてるのが許せなかった。
俺はあんなに頑張ってやったとここまで来たのに……
アイツはあっという間にいっくんを虜にした。
邪魔だった。
だから、あの施設ごと爆発させたんだ。
能力を使ってガスに引火させた。
そしたらあっという間に吹っ飛んで、死んだと確信した。
けど、次の日……いっくんは何故かソイツを連れていた。
何で生きてるのか不思議だった。
しかも無傷。
いっくんと一緒にいてくっついていた。
まるで自分のものだと言うように……
それがさらに許せなかった。
俺が頑張って……頑張って頑張って……
なのに……何で……
見る度にムカついた。
だから、次は確実に殺すと決めたんだ。