第5章 颯太の本性
颯太side
2年前……
高校の入学式の日……
クラス分けの表を眺めていた。
別に知ってる人は誰一人として居なかったからどこのクラスでも良かった。
周りは友人と騒ぎあってる。
そんな中、ただ掲示板をじっと見つめる同級生がいた。
喜怒哀楽を感じられない顔。
何故かその目に惹かれた。
それがいっくんと初めて出会った日。
仲良くなりたくて、何とか近づけないか必死に考えた。
けど、なかなか出来なくて諦めようとしていた。
ある日、日直の仕事で資料を運んでいた。
その量が多すぎて前もギリギリ見えていた。
曲がり角を曲がろうとした時……
ドン!
「あ!」
誰かにぶつかって資料をバラまいてしまった。
「すみません!!」
相手の顔も見らずに散らかった資料を集めていた。
「……いや、俺もごめん。」
そう言って資料を拾ってくれた。
顔を見るといっくんだった。
急に鼓動が大きくなって動きが止まっていた。
「?なに?」
「う、ううん!」
慌てて資料を集めてその場から走り去ろうとした。
けど、腕を捕まれた。
「おい、また俺に拾わせる気かよ。危ねぇだろ?気をつけろ。怪我するぞ。」
「あ……う、うん……ありがと。」
この時わかった。
これは恋だって。
やっぱり諦めないって決めた。
それから色々調べた。
名前も誕生日も住所も……
自分でも引くぐらい。
でも好きなんだ。
3年間ずっと。
1度も冷める事は無かった。