第5章 颯太の本性
樹輝side
颯太が不気味に笑って立っている。
「いとこって嘘でしょ……俺知ってるよ?ソイツ能力者だって事。」
「……お前もそうだろ。」
「そうだよ。よく気付いたね(笑)」
いつもなら小さい子供達で賑わっている公園は今日は誰一人としていなかった。
あんなに明るく楽しい場所が今だけは静まり返って不気味な雰囲気が漂っている。
「で?用は?」
「あー……ソイツに用があるんだよね……」
颯太はヒカルを睨みつける。
「ボ、ボク!?」
「お前と何の関わりもねぇだろ?!」
ヒカルを後ろに隠す。
「……だから……そういうの……本っ当ムカつくんだよね!」
颯太の目は赤い光を放つ。
赤いと言っても暗い赤。
手には炎を持っている。
「俺の能力はね、炎。自由に出せて扱えるんだ。」
「……何がしたいんだ。」
「……邪魔者を消す。」
「邪魔者?」
「ソイツだよ。」
ヒカルを指さす。
「ヒカルが?」
「へぇ、ヒカルって言うんだ(笑)何?いっくんが付けたの?」
「あぁ。」
「本っ当ムカつく!!」
すると、こっちに炎を投げてきた。
マズい……避けるとヒカルに当たる。
クソ……避けきれねぇ!!
ヒカルを守るようにして背を向けた。
「うっ!あぁぁぁぁ!」
くそ……熱い……
「うっ!!いっ!」
「ヒカル!?っ!」
ヒカルがしゃがみこむ。
「背中が……熱い……何で……」
しまった。
俺の痛みもヒカルに伝わるんだ。
こいつは寝てたから知らない。
「別にね。いっくんを傷付ける気はないんだよ?そこをどいてくれるだけでいいんだ。」
「っ!何でこんな事すんだよ!」
「……だから言ったじゃん。邪魔者だって。」
「何でヒカルが邪魔者なんだよ……」
その言葉で颯太は炎を消した。
「いいよ、全部話してあげる。」