第16章 それぞれの生きる道
樹輝side
学校から帰ってくると陽は家に居なかった。
ただ、テーブルの上に
『月の所に行く。』
と書かれた紙切れだけが置いてあった。
月はもう居ない。
何となく予想がついた。
不思議な事に、朝うるさかった事件は何事も無かったかのように取り上げられてなかった。
月の遺体も無くなっていた。
仕方なく、墓だけでも作ってあげた。
何日も経ったが、俺の身に何も起こらなかった。
俺も颯太も無事受験に合格し、高校を卒業した。
将樹も公務員試験に合格し、警察官の道を歩んだ。
それからもう何年も経ち俺達は大人になった。
その頃には既に能力者の存在は無くなっていた。
陽の仕業か……