第16章 それぞれの生きる道
颯太side
俺は教師になり、2年が経った。
まさか夢が叶うとは。
ここまでの道のりは大変だったけど、頑張ってよかったと思う。
今日は入学式。
今年からクラスを持てる。
1年の担任か。
色々とめんどくさい年頃。
晃も教師になり、偶然か俺と同じ学校、しかも、晃の担当になった。
わからない事が沢山あるから面倒を見る事に。
俺もまだ3年目なんですけど……
「入学おめでとう。1年間このクラスを担当することになりました。よろしくお願いします。俺の事は好きなように呼んでくれていいです。」
皆まだ緊張してるのか、ぴしっと背中を伸ばして話を聞いている。
ただ1人だけ、俺の顔を見て驚いている男子生徒がいた。
……なんだ?顔に何か付いてるか?
「んーっはぁ……終わったぁ……」
中庭の桜を前に背伸びをした。
今年も綺麗な桜が咲いたな……
……月に見せてやりたかった……今でもそう思う。
「颯太……」
呼び捨てで呼ばれた。
いっくんか将樹くんか昂くんくらいしかいないよね。
振り向くと、俺のクラスの生徒だった。
あぁ……なんか見覚えある……
「急に呼び捨てかよ……えぇっと……」
「俺だよ……ヒロ。覚えてない?」
「ヒロ?」
「大きくなったら迎えに来るって約束した。まさかこんな所で会うとは思わなかったけど。」
思い出した。
急に抱きつかれ、身動きが取れない。
こんな所誰かに見られたらまずい!
教師と生徒とか……
「会いたかった。ずっと。」
「ちょっ離せ!」
「颯太さん!?」
げっ……晃……
タイミング悪……
「誰ですか!?その子!!」
「えっと……」
「6年前に付き合うって約束したヒロです。」
そんな約束してないけど!?
「は?何ですかそれ……その頃には俺達付き合ってましたよね……」
「あー……もしかしてあんたが海堂って奴?」
「ちょ……お前ら……それ以上は……」
お互い目を光らせた。
流石にやばい!!
「何であんたが颯太の能力を……」
「……愛してるから。」
いい加減に……
「やめやがれ!!」
2人の腹に拳をねじ込んだ。
「俺は教師だ!お前とは付き合えねぇ!それから晃も!俺ら一旦別れただろ!?諦めろ!!」
「まっ……颯太……」
「颯太さん……」
俺は二人を置いて帰った。
俺の教師人生……最悪な展開……