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そして今日も生きていく【R18】

第16章 それぞれの生きる道


樹輝side

いつも通りの朝、いつも通りの世界……
何も変わらない今日がまた始まった。
ただ一つ……俺の隣で寝ているのは月ではなく、顔の似た双子の兄の陽。

あの後、月の遺体はあの場に置いてきた。
何とか義父さんに頼んで墓作ってやりたい。
ひっそりと葬式をして、火葬もして。

もちろん、テレビでは朝方の事が騒ぎになっていた。
すぐに俺だとバレるだろう。

「……ここどこ?」

陽が目を覚ました。
キョロキョロと周りを見渡している。

「俺の家だ。」

「……月は?」

「……死んだ。」

「は?……死んだ?……」

陽は頭を抱え顔色を悪くした。

「月がお前に『幸せだった』って伝えて欲しいって。」

「幸せ?けど月は死んだ……」

「死んだからって幸せじゃねぇのかよ。生きている間、アイツは幸せだったんだ。俺も月が幸せだったなら幸せだ。出会えてよかったと思う。」

テレビの音に気づき、陽がニュースを見た。

「これ……」

「……俺ももうすぐ死ぬ。すぐにバレて殺される。」

「……そう。」

陽だけでも生きてほしい。
母親を失い、弟を失った。
これ以上、辛い思いをしなくていいはずだ。

「……俺、学校に行ってくる。その間、留守番頼むぞ。」

「……うん……」

陽の顔を伺い不安になりながら俺は家を出た。
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