第15章 ズレた思い
樹輝side
「さぁ。始めよっか。」
「……。」
これで……未来が変わる……この世界とも……
「樹輝!」
扉が勢い良く開き、月が息を切らして出てきた。
「……月、さすがに執拗いよ。」
陽が月に冷たく言い放った。
月には優しかったのに……怒っている。
陽が目を光らせ、月を睨む。
「っ!?」
「月!?」
「ちょっとの間だけ、動きを止めとくね。本当はこんな事したくないんだけど。」
ただ動きを封じただけか。
びっくりした。
「だめっ……樹輝……」
俺は目を瞑り、街の方に手をかざした。
「そんな事したら……樹輝は死んじゃう……」
「……は?」
「次……能力使ったら……死ぬかもしれないって……神父さんが……」
死ぬ……?
いや、俺は死んでも……
「樹輝が死んだら、僕はどうやって生きて行けばいいの……?これからもずっと一緒にいるって……言ったのに。」
俺が死ねば……月は生きる事が出来ない。
そんな未来は望んでない。
俺には……月を残して死ぬ事なんて……出来ない。
かざしていた手を下ろした。
「……はぁ……もううんざりなんだけど……」
そう言って、俺の胸元のペンダントに手をかけた。
そして、思いっきり下に引っ張った。
その勢いで俺のペンダントは首から離れてしまった……
「あんたの命なんてどうでもいい……僕は月さえ生きてれば……母さんの復讐さえ出来ればどうなってもいいんだよ。」
「っ!樹輝!!」
俺の意識はそこで途絶えた。