第15章 ズレた思い
樹輝side
「……そっか……月は今幸せなんだ……」
「うん。……お兄ちゃんも一緒に暮らそ?そしたらもっと……」
「じゃあさ、これからは?」
「え……」
陽のその言葉に月は黙り込む。
俺も陽のその言葉には返すことが出来なかった。
「今は幸せかもしれないよ?でもさ、これから先がずっと幸せかは分からないよ。現に樹輝の存在はすべてバレてる。」
「……それは……っ!お兄ちゃんがあいつらの記憶書き換えれば!」
「僕死ぬよ?それでもいいの?」
「死ぬ?」
「あんな数の人に能力使ったら僕だって持たない。それは樹輝にも言ったはず。」
確かに聞いた。
……これからの未来……もう幸せには過ごせないかもしれない。
俺の命はどうでもいい。
けど、月は生きるという事をやめてしまうかもしれない。
俺は正しい答えが分からなくなり、黙り込むしかなくなった。
「……樹輝……行こっか。」
「……あぁ。」
俺は陽に付いていき屋上に出た。
「樹輝!待って!駄目……行かないで……」
月は諦めずに、階段を上がって追いかけてきた。