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そして今日も生きていく【R18】

第15章 ズレた思い


樹輝side

「月……会いたかったよ……」

「……僕もだよ。」

月の喋り方に違和感が無くなった。
記憶が戻ったからか?

「月、もう時間だ。……あと少しで終わる。」

陽はそう言って俺の服を引っ張りながら屋上に向かう。
そうだ……あと少しで……
これで……

「っ!樹輝!!」

月の声が響き渡る。
その声には皆驚いた。

「駄目だよ。そんな事しちゃ。」

「……お前の為なんだ。」

「樹輝は何か勘違いしてるよ……」

勘違い?
そんなはずない。
これが正しい。
愛する者を幸せにする為……

「僕はこの世界が大好きだよ。花や空や雲や風……今となっては記憶が戻って当たり前の事だけど……樹輝が優しく教えて一緒に歩いてくれたあの街が大好き。だからお願い……僕の思い出を消さないで。僕は今凄く幸せだよ?それじゃ駄目かな?」

月のその言葉は俺の考えを揺るがした。
月が好きなこの世界を壊せば……月はショックを受けるだろう。
俺と月の思いはズレてたのか。
大好きな世界で大好きな人と暮らして大好きな事して……
確かに……幸せだ。
そんな幸せを……俺は壊せない。

「陽……止めよう。月の為になんかならねぇ。」

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