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そして今日も生きていく【R18】

第15章 ズレた思い


樹輝side

颯太はヒカルのおかげで生き延びる事が出来た。
良かった……

「はは(笑)すっごいね!流石、僕の弟!」

その声で俺らの存在にヒカル達が気づく。

「……おとうと……?」

「そうだよ……僕はあんたの兄だよ。」

「え……」

ヒカルは驚きを隠せず、目が泳いでいた。
他の皆は何となく感じていたのか、反応はそこまでなかった。

「まぁ、覚えてないだろうね。記憶消しちゃったから。」

「ぼくの……お兄ちゃん……?」

「……久しぶり……僕の可愛い弟。月(ひかる)。」

その言葉を聞いて、ヒカルの様子がおかしくなった。
息が荒くなり、顔色も悪い。

「あぁ……あぁぁぁ!」

頭を抱え膝から崩れ落ちた。
苦しそうだ。

「お前……ヒカルに何した……」

「……何って……僕はただ名前を呼んだだけだよ。」

名前?
なんでそれを聞いてあんな風に……

「そうだ……思い出した……僕は……月だ……」

どういう事だ?
思い出したって……記憶が戻ったのか……?
けど……ヒカルって……

「本名、月と書いて『ひかる』。まさか、君が本名当てちゃうとはね(笑)」

本名……月?
そんな偶然……

「そして、僕の名前は……陽(あたる)。……月、全部思い出したでしょ……」

「……うん……思い出したよ……陽お兄ちゃん。」

顔を上げた月は涙を流していたが笑顔だった。
それは嬉し涙ではなく、苦しんでいるように見えた。


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