第15章 ズレた思い
颯太side
目が覚めた時、ヒカルの泣きそうな顔が目の前にあった。
俺、死んだはず……
「そうた!!あきらが!!早く止めないと!!」
晃?
振り向くと晃はもう人間の姿ではなかった。
まるで獣……
しかも火の能力が……
?
って事はやっぱ俺死んだんじゃ……
状況が読めずワナワナしていると、ヒカルが横から耳元に叫んだ。
「そうた!!これは夢じゃない!!そうたは生きてる!!早くしないとあきらが死んじゃう!!」
「なんで晃が死ぬんだよ!?」
昂君も近くにいた。
「颯太……海堂の目的はアイツを殺す事だ。その目的が果たされたら海堂は死ぬ。けど、お前が生きてると知ったら治まるかもしれない。……救えるのはお前だけだ。」
「晃が……死ぬ……?」
晃の方を見ると相手は既にボロボロだ。
動けなくなってる。
「晃!」
俺の声に全く反応しない。
聴こえてないのか……
もっと近づかねぇと。
俺は走りながら晃の名前を呼んだ。
「晃!もうやめろ!」
「颯太!それ以上は!!」
昂君が遠くから止めたけど、ここで立ち止まるわけにはいかない。
晃の動きが止まった。
聴こえた?
けど、振り向かない。
俺は炎の中に飛び込み晃に抱きついた。
炎に包まれた晃はすごく熱かった。
怒りと憎しみと悲しみに溺れている。
「颯太……さん?」
「っ!晃!俺だ!」
晃が俺の存在に気づき身体の周りの炎を消した。
身体も人間と変わらない姿に戻った。
よかった……
いつもの晃だ……
「颯太さん……生きて……」
「ヒカルが治してくれた……」
晃が振り返り、俺の両頬に手を添え、額を引っつけあった。
「よかった……よかったっ……」
「晃……もういいから……やめろ。俺は大丈夫だから。」
晃は涙を流しながら笑顔を見せてくれた。
「はい……颯太さん……」
「……ただいま……」
晃の胸に入りそう言った。
ちゃんと帰ってこれた。
愛する人の元に……
「……お帰りなさい。」
優しい声で囁き、俺を力強く抱きしめた。