第15章 ズレた思い
晃side
『晃……おはよう。』
颯太さん?
あれ……ここは俺の部屋だ。
『晃?どうした?』
目の前には颯太さんの笑顔があって……
その笑顔は俺の癒しで、なによりの宝物。
好きな人だから笑っててほしい。
「何でも無いです……」
『……そう。』
隣に眠る颯太さんを抱きしめ、今幸せだということを噛み締める。
「……暖かいですね。」
耳元で囁く。
颯太さんは耳が弱くて、いつも顔を赤くてして抵抗して来る。
その反応も可愛くて、大好きだ。
「?颯太さん?」
けどいつもみたいな反応が無い。
『さ……むい……あき……ら……』
っ!
さっきまで暖かかった颯太さんの身体は冷えていた。
氷のように冷たく、まるで死体のようだった。
『あ……きら……だい……すき……』
あぁ……
そうだった。
颯太さんはあの男に殺されたんだった。
体を傷つけ、キスまでして……殺した。
これは、夢……
もうあの笑顔の颯太さんはどこにも居ない。
俺の隣にはこれから一生居ない。
俺は何も出来なかった。
恋人なのに。
きっと颯太さんも死にたくなかったはず。
楽しそうに樹輝先輩の話やヒカルの話、将来の話だってしてた。
『将来は高校教師になって、生徒の悩みに向き合いたい。イジメとか、虐待とかで自殺する人が多いからそんな人を一人でも多く減らしたいんだ。』
『颯太さんはいい人ですね。』
『そんな事ねぇよ。……普通の人間として生まれてきた人達には幸せになって欲しいから。俺らみたいな能力者として生まれてないからこそ、俺たちの分まで幸せになって欲しい。……だからさ、生徒から信頼されるような教師になる。そして、皆と沢山遊んで、経験して生きてる内にいい思い出を人1倍作りたい。』
颯太さんは自分の将来を楽しみにしていた。
けど……それも叶わない。
思い出なんて人生の半分も無い。
颯太さんを殺したアイツを殺して、将来を奪ってやる。
絶対に……殺す……
だから……待ってて……
颯太さん……
――――晃!――――
……颯太さんの声が聴こえる……
幻聴かな。
それでも嬉しい。
――――晃!――――
どんどん声が大きくなってる。
っ!?
「晃!!もうやめろ!!」
「っ……」
どうして……颯太さんが……