第15章 ズレた思い
ヒカルside
叫び声が聞こえて急いでまさきと向かった。
明るくなった部屋に入るとこうとまなみはどこかを見て驚いた顔をしていた。
「っ!あれ……海堂……か?」
肩を組んでいたまさきも驚いていた。
ぼくも3人が見ている所を見た。
そこには、火に包まれたあきらがいた。
別人のように見えるけど、間違いなくあきらだ。
「っ!将樹!……おい、あれ……」
呆然としていたこうがぼく達に気づいた。
「あぁ。覚醒……初めて見たがな。」
「かく……せい?」
「覚醒は何か強い目的を持った能力者に起こる。覚醒すると、これまで以上に無いほどの能力が発揮できる……と、同時に……その目的を達成したら命を落とす可能性が高まる。強敵の身体にはなれるが、人間として生きることと自分の命を諦めなければならない。」
「それじゃあ……あきらは……死ぬの?」
「……かもしれない。」
そんなのやだ……
だめだよ……
止めないと……
「恐らくだが、海堂の目的は……あの男を殺す事だな。」
「ご名答だよ、将樹。まさか、能力を手に入れてすぐに覚醒するなんてな……異例だ。」
殺す……なんでそんな事……
はっと思い、周りを見渡すとそうたが倒れていた。
あきらがああなった理由はそうた……?
てことはそうたは死んでるの?
さっきから全然動かないし……
ぼくの体は勝手にそうたの元へ駆け寄っていた。
「ヒカル!!危険だ!!」
「お願い!そうた運ぶの手伝って!お願い!」
「……わかった……俺が行く。」
こうが走ってきてくれた。
そうたが生きてるかもしれない……
そんなわずかな可能性に賭けるしかなかった。