第15章 ズレた思い
晃side
「颯太さん!」
「あ……きら……」
颯太さんの上半身を起こし、抱きしめた。
いつもなら暖まるはずなのに全然暖まらない。
むしろ冷えていってる。
「ごめ……ん……もう……」
「何言ってるんですか!?約束は!?約束したじゃないですか!!いっぱいデートするって!」
「……ごめん……あ……き……ら……」
颯太さんの綺麗な声は既に枯れていて聞き取りずらくなっていた。
苦しいはずなのに笑顔で必死に話す顔を見て胸が痛む。
颯太さんは必死に笑顔を見せるけど、涙が溢れ出ていた。
「さむい……さ……むい……よ……あきら……」
「俺が暖めます!大丈夫ですから!」
「無理無理。そんなの効かないから(笑)」
「……黙ってろ……」
颯太さんが俺の顔に手を伸ばした。
その手は震えていて俺の頬まで届かない。
颯太さんの手を掴み自分の頬に当てた。
「……あった……かい……あきらの……て……」
「颯太さんの手は冷たいです……」
「……あき……ら……」
颯太さんは涙を流しながらも、はにかんだ笑顔を見せ、
「だい……す……き……」
その言葉を残し、目を閉じた。
それと同時に、手の力が抜け俺の手から滑り落ちた。
「そんな……そんな!!」
颯太さんが……死んだ……
俺の腕の中で……眠って……
「あ……あぁ……あぁぁぁぁぁぁ!!」
これまで流した事の無いほどの涙が溢れ出た。
こんなに綺麗な顔してるのに死んでるなんて信じられなかった。
まだ生きてる……
そんな気持ちが俺の中では存在していた。