第15章 ズレた思い
晃side
ずっと走って来て、いつの間にか周りは氷が張っていた。
かなり冷えている。
この氷……まさか……
嫌な予感が頭を過ぎり、鼓動が速まる。
さっきよりも速いスピードで走り、明るくなった部屋に辿り着いた。
「っ!海堂!?」
「昂先輩に愛美先輩……」
「将樹とヒカルは?」
「先に行けって言われて……颯太さんは……」
「……あそこ……」
指さされその方向を見ると、首を締め上げられた状態の颯太さんがいた。
「っ!どうして助けないんですか!?」
「助けたいのは山々なんだけど、俺らももう使えねぇんだよ。」
「そんな……」
このまま見ていることしか出来ないのか?
助けないと……
「っ!あちっ!」
颯太さんが相手の腕を掴み手に熱を加えた。
その影響で颯太さんの首からは手が離れ動けるようになった。
「ゴホッ!ゴホッ!……くそ……」
「颯太さん!」
「っ!晃!?お前……」
相手は俺の顔を見ると不敵に笑みを浮かべた。
まずい……
「颯太さん!離れてっ……!?」
「んっ!?////」
男は颯太さんにキスをした。
しかも、長い……
颯太さんは苦しそうに踠くが、力が弱まり膝から崩れ落ちてしまった。
「颯太……さん?」
「颯太!?」
昂先輩も愛美先輩も汗をかき、驚いた顔をした。
俺は何も考える事ができず、ただ呆然としていた。
「何を……何をした!!」
怒りがこみ上げてきて、そう叫んだ。
何が起きた……何で颯太さんは倒れたまま動かない……
「……氷を体内に吹き込んだ。少しずつ冷えて、数分後には死ぬ。どれくらいもつかな?(笑)」
死ぬ……?颯太さんが?
そんな……
「火の能力者だよね。通常とは違うから意外ともつかも(笑)」
俺はゆっくりと颯太さんに近づいてみた。
目は薄らと開いているが体が冷えている。
息も荒くなっていて傷も酷い。
かなり力使って、もう火を使えなくなっているのかもしれない。