第15章 ズレた思い
晃side
将樹先輩は中々歩けず、ゆっくりと歩いていった。
早く颯太さんの元に行きたかったけど、頼まれたし……ちゃんと支えていかないと。
「海堂、お前先に行け。颯太の所に行きたいんだろ。」
「いや、でも……」
「俺は大丈夫だ。ヒカルもいるし、それにさっきから敵は気を失ったままだ。問題はないだろ。」
将樹先輩はヒカルにだけ肩を借りて立った。
「あきら、早く行って。そうたが心配なんだよね。大丈夫だから。」
「……分かりました。上で待ってますから。」
「おう。」
俺は走って更に上の階に向かった。
今更だけど、かなり高いビルだな。
颯太さんは今どこなんだ?
無事なんだろうか?
そんな変な事ばかりが頭をよぎる。
大丈夫だと口に出しながらも、心の中は不安でいっぱいだった。
颯太さんの顔を見るまで、声を聞くまで、体に触れるまでは落ち着けない。