第15章 ズレた思い
颯太side
一気に静まり返り、小さな音がより大きく聞こえる。
寒いはずなのに、汗をかく。
集中して耳を澄ますと奥の方から氷のピキピキという音が聞こえた。
「颯太……危ない。」
「うん、分かってる。」
耳の良い愛美ちゃんにも聞こえているみたいだ。
攻撃に備え、構える。
一瞬のわずかなヒュッという音の後に氷のナイフが飛んできた。
俺はかなり集中していたのかすぐに反応し、炎で壁を作ることが出来た。
ナイフは炎に当たり、すぐに溶けてしまった。
氷に囲まれた部屋は一気に熱くなる。
部屋全体に火を灯し、明るくする。
現れたのは予想通りの男。
「やっぱり君も来たんだ。颯太。」
「当たり前だ。」
「来て欲しくなかったんだけど……仕方ないね。」
そう言って、俺に向けてさっきと同じ様に何本ものナイフを投げた。
「しつこい!!」
炎の壁をさっきより厚くして、防御する。
「はは(笑)君、その手どうしたの?火傷してるじゃん。もうやめときなよ。」
「あんたに関係ない!」
火で野獣を作り出し、攻撃する。
これは避けれないはず。
そう思った。
けど、俺の攻撃は簡単に凍らされた。
「そんな……」
「へー(笑)強くなったね。駄目だったけど。」
まだ本気出してないな、アイツ。
「ねぇ、そんなにあの男の事好きなの?樹輝だっけ?」
「いっくんは親友……」
「あ、そっか。君の恋人はあの後輩ちゃんか。」
何で知ってんだ……
「今日は居ないみたいだね……なに?別れちゃった?だったら俺が恋人になってあげよっか?正直君タイプだし(笑)」
「残念だけど、あんたは俺のタイプじゃない!」
炎の矢を何本も作り出し攻撃する。
「あっそ……だったら、もう君に用はないよ。」
それも簡単に弾かされた。
俺、こいつに勝てるのか?
少しずつ不安になってきた。