第15章 ズレた思い
ヒカルside
「ん……ヒカル?」
まさきが目を覚ました。
「まさき……体痛いところない?」
「あぁ……問題ねぇ。俺、倒れたのか……」
「うん。一応、頭の傷は完全に治したけど……」
まさきが頭を押さえながら起き上がった。
ぼくの膝には少し温もりが残っていた。
「ありがとう。他の奴らは?」
「先輩方は先に上に行きました。手遅れになる前に樹輝先輩を止めるって。」
あきらがまさきと戦った男の人を縛って戻ってきた。
あれで動けないと思う。
「だったら急がねぇとな。」
まさきは立ち上がると少しよろけた。
ぼくとあきらで慌てて抑えたから転ぶことはなかった。
「まさき、無理しちゃダメだよ。もう少しここにいた方がいいんじゃ……」
「ただの立ちくらみだ。気にするな。行くぞ。」
「あ、待って。あの人の体治してあげていい?骨折れてるから。」
僕がまさきと戦った男の人を指さすと2人とも驚いた顔をした。
「ヒカル……何でそんなことする必要が?アイツは将樹先輩に怪我させたんだぞ?」
「だって、怪我してるから。あの人もぼく達と同じ人間だもん。」
ぼくはそう言って男の人の元へ駆け寄った。
まだ意識を失ってる。
今のうちに治療しておこう。
ぼくは急いで治療を済ませ、まさき達と上の階へ向かった。