第15章 ズレた思い
昂side
「愛美、颯太……下がってろ……」
2人を離し俺が男に向かい合った。
相手は男だから愛美には相手して欲しくない。
危険な感じがするため、颯太には無理だ。
俺がこいつを倒さねぇと。
暫く沈黙が続く。
何も仕掛けてこない……
何なんだこいつ……
くそ……俺から動かねぇと始まらねぇな……
俺は能力発動しようと手を前に出そうとした。
だが……
「っ!なん……だ……これ……(汗)」
「昂君どうしたの?!」
後から心配する颯太の声が聞こえた。
「体が……動かねぇ……」
「「っ!?」」
まるで体中、鎖で巻かれたみたいにびくともしない。
何が起きてるんだ。
必死に考えていると、首を締められる感じがした。
苦しくて息ができない。
「かはっ……あっ……」
「昂!」
愛美の声……
少しずつ聞こえなくなってきてる。
このままだとやばいな……
「くく……」
男が笑い始めた。
「いい顔……苦しい?ねぇ?苦しい?(笑)」
体が持ち上がる。
床から足が離れてしまってもう何も出来なかった。
無理なのか……何かあるはずだ……
こいつの能力さえ分かれば……
苦しい中、周りを必死に見渡す。
自分を信じて探し続けた。
けど……もう駄目だ……
意識が薄れてきて、下を向いた。
「っ!そう……た……火を……火を消してくれっ……はや……くっ」
「わ、わかった!」
颯太が全ての火を消すと、俺の体は地面に落ち自由に動くようになった。
首を締められた感じも無くなった。
「ゲホッ!ゲホッ!……はぁ……はぁ……なるほどな……」
分かった……こいつの能力……
影の操りだ。
偶然下を見たら、俺の影が無かった。
遠くばかり見ていて全然気づかなかった。
これこそ、灯台下暗しってやつか?
アイツは影を操る……
って事は影が無ければ攻撃は出来ないはずだ。
灯りさえなければ……
けど、それだと俺も戦えない。
間違って後ろの2人に当たってしまうかもしれない。
だったら……
「颯太、全部付けなくていい。所々暗いのを残して火を付けてくれねぇか?頼む。」
「……うん……わかった。」