第15章 ズレた思い
颯太side
いっくんが汗を流しながら叫ぶ中、将樹君の目の前には既に敵がいた。
俺らはあまりの速さに息する事さえ忘れていた。
将樹君も一瞬の出来事で反応出来なかったのか、ピクリともしなかった。
あの男……さっき、1人で鉄柱を投げてたよね……
しかも、あの後全然息切れしてなかったから軽々と投げたんだと思う。
そんな奴の攻撃を真正面から受けたりしたら即死……
「はは!」
男は笑った後、将樹君の顔面を真っ直ぐに殴った。
その瞬間、物凄い爆発に似た音が響き渡り、爆風が吹いた。
その風は俺達を吹き飛ばしそうな程の物だった。
風が止み、目を開けると将樹君は顔に拳を当てられた状態で突っ立っていた。
そして、頭から血が流れ出した。
「大事言った割りには大したことねぇな。もう終わりかよ。」
嘘……
あの将樹君が……?
将樹君は全く動かない。
あんな攻撃を受けたんだ……生きてたら奇跡……
「……勝手に死なせてんじゃねぇ……」
「なっ!?!?」
将樹君が声を発した。
しかも、手を動かして男の太い腕を掴んだ。
よかった……生きてる……