第15章 ズレた思い
ヒカルside
いつきが行っちゃう……
「樹輝!!」
まさきが真っ直ぐ前を見たまま叫んだ。
その声にその場にいた全員が驚いた。
「俺らはお前を助けに来た!お前が誤った道を行かないようにここに来た!だからお前を止めるまで簡単に帰るわけにはいかねぇんだよ!」
いつきが目を丸くしてまさきを見つめている。
そして、ぼく達の方に目線を向ける。
「いつき、ぼくも帰らないよ!ぼくといつきは離れていても気持ちや痛みは伝わるから、どんなに突き放されても死ぬまで諦めないから!」
「ヒカル……駄目だ……お前は何もわからないからそんな事が言えるんだ。」
「……分かった……言っても無駄なら力ずくでお前を止める。だからお前は黙って上で待ってろ。」
まさきが今までに聴いたことないほどの低い声で話し、いつきを睨んだ。
そして一呼吸置き、前にいる敵を見つめた。
「将樹……お前まさかソイツと……」
「まずはコイツを倒さねぇと次には進めねぇ。そう簡単に通してくれそうにはねぇからな。」
「よせ!ソイツは!」
いつきがそう叫んだときにはもう遅く、相手が不敵な笑みを浮かべ、動き出していた。