第15章 ズレた思い
樹輝side
「じゃあ、お前のもう1つの能力って……」
「記憶操作。昔はある期間の記憶を消すことしか出来なかったけど、今じゃすり替える事もできる。動画編集みたいな感じだよ。」
ヒカルは産まれた時からあそこにいるんじゃないのか……
っ!
ヒカルが近くにいる……
何で来たんだ……
来ちゃ駄目だ、ヒカル。
「お、来たね。相当樹輝の事好きなんだね。」
外を眺めながら不敵に笑う。
「おい……約束覚えてるよな?」
「勿論だよ。」
そうだ、こいつが弟に手を出す訳がない。
さっきの話を聞く限り、愛している様だった。
「……僕は手を出さないよ。」
「僕は?……どういう……」
「僕は確かに約束したよ。でもね、他の奴らは居なかっただろ?(笑)」
「っ!……汚ぇ野郎だな。」
「どうも(笑)」
下から物凄い音が聞こえた。
「おい!止めさせろ!」
「無理だよ。始めちゃってるもん。まぁ、弟殺されたら困るから注意はしとくか……」
キングが1階へと降りていく。
ここは壊される予定の高いビル。
屋上に行けば一面見渡せる。
「付いてきて。あんたにアイツら説得してもらわないと困る。」
そうだ、アイツらを巻き込まない為に説得しねぇと。
そしたら、戦う事だってしなくていい。