第15章 ズレた思い
キングside
僕と弟は双子。
母さんは4つ持ちの能力者だった。
能力は僕と弟の2人で2つずつ分けられた。
母さんは元々周囲から恐れられていて、その子供の僕達も嫌われていた。
それでも、母さんは僕達を愛してくれた。
幸せだった。
けど、その幸せもすぐ壊された。
5年で。
僕達が5歳になった頃、母さんは殺された。
母さんは僕達を守ろうと誰も来ない所に隠した。
場所は僕でも分からなかった。
母さんは既に能力を失っていて、上手く戦える事が出来なかった。
目の前で……殺された。
まだ幼かった僕達にとっては衝撃過ぎた。
弟は泣き喚いて僕達の居場所もスグにバレた。
僕は何とか生きようと能力を使って全滅させた。
体力が無かった僕にはかなり厳しかった。
「母さん……母さん……ぐすっ……」
「……×××。よく聞いて……」
「お兄ちゃん……?」
「今から記憶を消すから。」
「え?……お兄ちゃん、どうするの?」
「……いつかちゃんと助けに行く。きつい事や苦しい事があるかもしれない。でも大丈夫。ちゃんと戻ってくるから。
「やだ。……お兄ちゃん、忘れたくないよ!おにぃ……っ!」
弟の頭に両手を置き目を光らせた。
「ごめん。ごめんね……」
弟の記憶を産まれた頃から全て消した。
だから、言葉も……外の世界も……僕の事も……母さんの事も全て……
辛かったけど、弟の記憶から母さんが死んだ事を消したかった。
その為には僕の存在も消すしかなかった。
僕だけは何故か自分の能力に気づいた時から上手く使える事ができた。
弟の記憶を消した後、その場に置き去りにして立ち去った。