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そして今日も生きていく【R18】

第14章 愛する者の為


樹輝side

頬に冷たいものを感じ、目を開けた。
目の前には綺麗な青と黄色の瞳を持った少年がいた。

「……ヒカル。」

「どうしたの?いつき。」

冷たいものの正体はヒカルの手だった。
細い指の着いた小さくて白い手。
俺の顔を覗く様にして上目遣いで微笑む。

……ヒカル……じゃない……

「お前誰だ。」

「誰って……今僕の事ヒカルって……」

「ヒカルはそんな作り笑顔しねぇ。あいつは素直に顔に出る。それに、俺を縛ったりしねぇだろ。」

オレは後ろ手を縄で縛られていた。
首筋には僅かな痛みが残っている。

「バレちゃった?(笑)」

そう言って少年は俺の頬から手を離し、小さく笑いながら背を向ける。

「……ヒカル……ねぇ。あんたが付けたんだろ?」

「……。」

「……あれね……僕の弟だよ。双子の。」

その言葉を聞いた瞬間、驚いて言葉が出なかった。
似ているのもそれが理由か。
納得がいく。
人の体をコピーできる能力者かと思っていた。

「僕はキングって呼ばれてる。僕の能力は人の心と体を思い通りに動かせるんだ。人の体を支配する。それが由来。もちろん本名はあるよ。聞きたい?」

「……興味ねぇ。」

「弟の本名は?」

「……聞かなくていい。」

本当は気になる。
本名を知りたい。
でもここで頷けばこいつの思い通りになる気がする。

「ふぅん。」

適当にそう返事を返したキングは俺に再び近づいてくる。
そして、俺の上に座り両腕を首に回した。
まるで誘惑する様に……キスをした。

「っ!?何すんだよ!?」

「何って……あんたが普段僕の弟にしてる事だよ。……僕の弟とするのは気持ち良かった?」

「……お前に関係ない。」

「僕、弟より上手いと思うよ?試さない?」

「生憎だが、お前には興味がない。俺はヒカルを愛している。」

「……つまんないの。」

そう言って再び俺から離れる。
正直、少し危なかった。
ヒカルとそっくりすぎて、流される所だった。
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