第14章 愛する者の為
ヒカルside
いつきは後ろから首元を殴られ気絶した。
ぼくは何も出来なくて、いつきが連れていかれるのを見るしか出来なかった。
もっと力があれば……
「ヒカル……行こう。ここにいちゃダメだ。」
「うん。」
ぼく達はいつもの隠れ家に向かった。
その時もいつきの事が気になって、いつもの歩くスピードよりも遅くなってしまった。
「ヒカル。颯太さんの手当てお願い。」
「うん。」
さっきの人……ぼくと同じ顔だった。
あれは誰?
ぼくじゃない。
いつきにもう会えないのかな?
そんなのやだ。
会いたい。
ずっと一緒にいれると思ったのに……
「ヒカル、いっくん助けに行きたい?」
「……行きたい。」
「命かけても?」
「……うん。」
いつきはぼくに色んなことを教えてくれた。
今では字も読めるようになったし、全部いつきのおかげだ。
僕もなにかしたい。
命かけていつきを助けたい。
「わかった。行こう。俺もいっくんには礼を言わなきゃいけない事もいっぱいあるし。」
ぼく達はそう決心し、まさき達の帰りを待った。