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そして今日も生きていく【R18】

第14章 愛する者の為


樹輝side

出口を探すと言っても……
そう簡単には見つからない。
周りは全て包囲されている。
初めは俺のスピードに付いてこれていた颯太も能力の使いすぎで体力に限界がきている。

「はぁ……はぁ……」

「颯太、大丈夫か?少し休むか?」

「いや……いい。早く出ないと……はぁ……」

颯太はその場に膝から崩れ落ちる。
体も震えてる。

「颯太……お前……火傷の跡が広がってねぇか?」

よく見ると両手火傷だらけになっていた。

「はは……ごめん、いっくん……俺、もう立てねぇから……行って……」

颯太は顔色が悪くなっていて、冷や汗が出ている。
苦しいはずなのに、笑顔を作っている。

「……何言ってんだ……」

「早く行かないと……」

「おい!いたぞ!」

くそっ……さっきから何人来んだよ……

俺が戦おうと颯太の前に立つが、颯太から突き飛ばされた。

「早く行って!!」

足を震えさせながら壁を支えにして何とか立っている。
なんでこいつはここまで……

「……晃にさ……『ごめん』って言っといて。『お前にはもっと良い奴がいる』って……お願い。」

「ふざけんな……」

俺は銃を構え発砲する。
なるべく使わないようにしようとは思っていたが……

隙を見て、呆然している颯太を抱えその場から逃げる。

「いっくん……なんで……」

「……簡単に死なせるかよ……俺の為に死ぬとか……いい迷惑だし。それに、海堂にはお前しかいねぇんだよ。見てればわかる。愛してる人がいるなら必死に戦って生きろ。」

自分でも何でこんなこと言ってるのかわからない。
こんな奴ほっといてさっさと逃げればいいはず。
……今の俺にはそんな事が出来なかった……
それもヒカルと出会ったせいかもしれない。
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