第14章 愛する者の為
樹輝side
応接室から出て、慎重に歩みを進める。
正面玄関は既に出れないだろう。
他に出口を探すしかない。
「どうやってあの数倒したの?」
「周りにあったものを使った。銃は一切使ってない。」
「へー……凄い……強くなったね……」
「落ち着いてたから弾丸が遅く見えた。」
初めに弾丸が飛んできた時、椅子を使って避けた。
そして、その椅子を投げ付けながら近づき、将樹に習ったとおりに戦った。
とにかく、場所がよかった。
「!いっくん……足音がする。」
「来たか……俺が囮になる。お前の存在にはまだ気付いてないだろう。その隙をついてくれ。俺もすぐに攻撃に向かう。」
「わかった!」
颯太は俺より小さいからいい感じに後ろに隠れることが出来る。
「いたぞ!止まれ!!」
俺は両手を挙げて降参のポーズをとりながら、前に進む。
「止まれと言っている!」
「いっくん、十分だよ。」
颯太が俺に聞こえるぐらいの小さい声で話しかける。
その声に合わせ立ち止る。
「跪け!!」
素直に膝を着こうとしゃがむ。
ゆっくりとしゃがみこむ俺の後ろから颯太が出てきて、
「油断したね……」
そう言って敵陣の近くにあった窓から見える車に火を引火した。
即爆破。
一気に敵陣が吹き飛び、俺は颯太が覆いかぶさり火傷を負うことはなかった。
「ふぅ……久しぶりに派手にやっちゃった。」
「颯太、大丈夫か?凄い火傷……」
「大丈夫だよ……これくらい。いっくんは?」
「俺は平気だ。……こいつら死んだのか?」
「気絶だよ(笑)まぁ、傷は負ってるけど……それよりここから出ないと!」
「そうだな。」