第13章 将来
樹輝side
「樹輝君……私、今日はもう帰るね。」
「うん。……今日は本当にごめん。」
「いいよ。むしろスッキリした。樹輝君が幸せになってくれれば私も嬉しいから。……だから頑張ってね!受験も!恋愛も!応援してるから!」
「ありがとう。気をつけて。」
「うん。またね。」
まさか、華奈が応援してくれるなんてな。
本当にいい子だ。
……だから周りに好かれるんだろう。
「樹輝。ちょっと来なさい。」
父さんに呼ばれた。
……怒られるんだろうな。
「はい。」
「……華奈ちゃんから聞いたよ。告白を断ったんだって?」
「……はい。」
「どうしてだ?」
「……俺、今好きな子がいて……華奈の事は考えられなかったからです。確かに華奈は優しくていい子だと思います。……俺にはもったいないくらいに。けど、自分の気持ちに嘘はつきたくないと思って。」
「……そうか……いやー!良かった!良かった!」
「……え?」
怒ってない……
何か嬉しそうだ。
どういう事だ?
「お前に無理させてるんじゃないかって思ってたんだよ。この家に来て、後悔してるんじゃないかって。家を継ぐって言ったのも無理してるのかと心配だったが……ちゃんと自分の意思で決めてるんだな。安心したよ。」
「……俺は、今までも自分の意思で行動して来たつもりですが……」
「そうみたいだな。お前は俺達の本当の子供じゃないからな。不安だったんだ。まぁ、許嫁の件は残念だったが……」
「……父さん達には本当に感謝してます。本当の両親のように育ててくれたので。」
「……樹輝。頑張れよ。」
「はい。」
血は繋がってないのに、本当の両親みたいで……
優しい人達に囲まれて育てられた。
ちゃんと親孝行しよう。
「あ……樹輝。それからもう一つ……」
「はい?」
「……その話し方嫌いなら止めなさい。顔に出てる。」
「え……」
「やっぱり言葉遣いは無理してたみたいだな。」
……バレてた。