第13章 将来
樹輝side
ヒカルは俺の部屋で寝ることになった。
隣は客室用になってて、今日は颯太と海堂が使っている。
「ヒカル、風呂入るぞ。」
「後で入るから……」
……そろそろ俺にも限界が来たな。
ベッドに座っているヒカルを押し倒す。
必死に抜け出そうとするのを両手を押さえつけ、動けなくする。
「やだ……放して……////」
「ヒカル、俺を見ろ。さっきからずっと避けやがって……」
「……いつきが……いつきがぼく以外の人とキスしたからだよ!もう僕の事嫌いになったならこんな事しないで……」
「……ヒカル、よく聞け。俺はお前の事1度も嫌いになった事ない。今でもだ。あれはあっちからしてきた。俺からじゃない。それに、ちゃんと告白も断った。許嫁という関係がありながらそれを断ったんだ。」
ヒカルは怯えた顔をして俺を見つめる。
「……お前が好きだから……お前と付き合ってるからだ。勝手に想像してんじゃねぇよ!」
「……いつき……ごめん……」
ヒカルが泣き出してしまった。
さすがに怖かったか?
「ごめんね……ぼく、いつきのこと好きだから……不安になっちゃって……」
「……知ってる。お前の気持ちは全て伝わってる。」
「……そうだったね。」
ヒカルに笑顔が戻った。
何とか誤解が解けたな。
「……よし、写真撮るか。」
「え?今?」
「さっきは笑ってなかっただろ?ほら、座れ。」
「うん!」
シャッターを押す。
確認すると、ヒカルは幸せそうな笑顔で写っていた。
最近はデータの中がヒカルとの写真が増えたな。
何も無かった空っぽの箱がもう溢れるくらいの量になってる。
まるで、俺の人生みたいだ。
何も無かった日々が、ヒカルのお陰で変わった。