第13章 将来
樹輝side
挨拶を終えて外の空気を吸おうとベランダに出る。
気持ち悪い……
この喋り方とか、人混みとか、挨拶とか……
全部嫌いだ。
けど、こんな俺を拾ってくれた人達だから文句は言えない。
むしろ、有難いと思うのが普通だ。
こんなに金持ちの家に呼ばれたんだ。
しかも大切に育ててくれた。
せめてもの恩返しとしては、この家を継ぐことだろう。
「樹輝君、いた。」
「……華奈……おじさんたちは?」
「お父さんは樹輝君の両親と話してるよ。」
「そう。……今日は来てくれてありがとう。」
「う、うん!////」
華奈は俺が小学生の時に親が許嫁って決めたんだよな。
……許嫁ね……
俺にはそんな気全くねぇのに。
確かに華奈は綺麗だと思う。
噂では、高校でかなりモテてるとか。
性格だっていい子だ。
けど、別に恋愛感情を抱くことはなかった。
「樹輝君、挨拶良かったよ。緊張した?」
「まぁね。それよりその格好、寒くないか?」
肩の出たドレスを着ている。
こんな真冬に……
俺は上着を脱ぎ、華奈に着せた。
「風邪ひくから。」
「あ、ありがと////」
ん?何か違和感があるな……
ヒカルか?
近くにいる気がする。
アイツは颯太の家にいるはずだ。
けど……この感じは……
「……樹輝君……今、好きな子とかいるの?////」
「……いるよ。」
「そ、そうなんだ。……」
俺は嫌な予感がして、中に戻ろうと振り向く。
それを華奈に止められた。
「?どうした?っ!?」
「……私じゃ……駄目ですか?////」
いきなりキスをされ真っ赤な顔でその言葉を述べる。
「……それは……っ!?」
「?」
俺の目に入ったのは、颯太と海堂……それからヒカルだった。
「樹輝君?どうしたの?」
「ごめん……ちょっと外行ってくる……」
「待っ!」
ヒカルはこっちを見ていた。
間違いなく……見られただろうな。
ヒカルの感情が全て伝わってくるのを感じ確信した。