第13章 将来
樹輝side
「ただいまー……」
「いつき!こんなのが来た!」
ヒカルが走って手に持って来たのは手紙だった。
「ヒカル、その前に言う事あるだろ?」
「あ、お帰りなさい!」
「よく出来ました。」
ヒカルの頭を撫でながら中に入る。
部屋の中が綺麗になっていて、洗濯物まで干してある。
最近、ヒカルは俺の行動を見て、家事というものを覚えたようだ。
怪我してないといいけど、俺には痛みが無かったから大丈夫だろう。
「……ありがとな。ヒカル。」
「う、うん!////」
話し方にも違和感が無くなってきた。
制服を脱ぎ、机に向かう。
手紙を開けると、両親からだった。
と言っても血の繋がりはないのだけど。
別に手紙じゃなくても携帯からでもいいだろうに。
「いつき、今日はまさきの所行かないの?」
「あー……今日はやめとこう。将樹、多分疲れてるからな。」
「……?そっか……」
今日、将樹が言っていた事を思い出した。
ヒカルが将樹の伯父さんを殺したかもしれない。
けど、こうやって見てもそんな事するような奴に見えねぇし……
それに、俺が目当てなら今すぐにでも連れていくだろう。
可能性は低いな。
「ヒカル……おいで。」
ヒカルは疑問に思いながらも俺の脚の上に向き合うようにして座った。
「いつき……何かあった?」
そう言って抱き着いてきた。
「……ちょっと悩み事。ヒカルに甘えたくなっただけ。……学校疲れたから。」
「そう……?ぼくは……知らないことがいっぱいで、こういう時何したらいいから分からないから……いつきが好きな様にしていいよ。いつきが幸せならぼくも幸せだから////」
「ありがとう。こうやって引っ付いてるだけでいい。」
「わかった。」
俺は少しだけ、ヒカルに甘えたくなった。
最近、色々疲れてきたな。
こんなに、周りに怯えながら生きるのは初めてだから。
それに、ヒカルを守ろうという思いでいっぱいになってる。