第13章 将来
樹輝side
颯太と一緒に屋上に向かうと将樹が遠くを眺めていた。
いつもと変わらない顔だがやっぱり少し悲しそうだ。
「将樹。」
「……おぉ。」
「……将樹くん、その……伯父さんの事聞いたよ。大変だったね。」
俺らは将樹の伯父さんが亡くなった事を昨日聞いていた。
一昨日、一日中将樹を見なかったから不安になって颯太が先生に聞きに行った。
将樹の伯父さんが亡くなったと聞いた時は驚いた。
たった一人の家族だったらしい。
「……伯父さんは……殺された……銃で3発。」
「「え……」」
殺された?
何で伯父さんが……まさか、将樹の存在が誰かにバレたとか……?
すると、将樹はポケットから何か取り出した。
銃だ。
「将樹くん……それって……(汗)」
俺も颯太も冬だと言うのに変な汗が出てきた。
「伯父さんが殺された銃……」
「……もしかして……将樹くんが?」
俺も将樹を疑った。
実際に殺しに使われた銃が目の前の奴の手にあるんだ。
「……違う……これは俺がその現場から抜き取ってきた。……犯人は分かってる。この目で見た。」
将樹は目の前で殺された事を俺達に話した。
それには能力者が関わっている事……
そして、ヒカルに似た人物が伯父さんを殺したという事も。
そいつらの狙いも全て話してくれた。
「ヒカルに似た人物……」
「それってヒカル本人とかじゃないの?」
颯太が疑う。
「っ!そんな訳ない!!ヒカルがそんな事できるか!あと、そんな能力なんてねぇよ。」
その俺の言葉の後に将樹が口を開いた。
「いや……俺にも真相は分からねぇが……本人じゃないという可能性も少なくない。むしろ高い。あまりにもそっくり過ぎる。髪型もだ。あれは樹輝が切ったんだろ?だったら尚更本人の可能性が高くなる。」
ヒカルが?
人殺し?
今まで騙されていたのか?
「俺は……伯父さんの仇を取りたい。許せねぇ。けど、真実がはっきりするまでは手出し出来ねぇからな。ヒカルにも何もしねぇ。だから樹輝、安心しろ。」
安心?
できるかよ。
本人だと分かったらコイツは殺す気だ。
俺はどうしたらいい……
ヒカルを失いたくない……
だったら……俺はヒカルを守る……