第12章 味方か敵か
将樹side
気配が完全に無くなってから伯父さんの元へ駆け寄った。
「おじ……さん……」
「……よぉ……来てたのか……」
「喋んな!傷口が開く!」
俺は伯父さんの傷口を押さえる。
出血はなかなか止まらない。
伯父さんを運ぼうと肩に掛け歩きだそうと一歩踏み出す。
「もう……無理だ……こんな傷……治らねぇよ」
「無理とか言うな!!ヒカルの所に行けば治る!だから諦めるんじゃねぇ!!うっ!」
伯父さんを抱えたまま倒れてしまった。
一人で大人を抱えるのは流石に出来なかった。
「絶てぇ……死なせねぇ……」
必死に伯父さんを抱え直そうと力を込める。
「将樹!」
「っ」
「俺は置いていけ……どっちにしろ俺はもう……助からねぇよ。出血も収まらねぇし……正直……目の前がボヤけてきている……」
「……やだ……」
「お前……そんなに我が儘だったか?……どうせ、俺の事嫌いなんだろ?(笑)だったら……尚更……」
目が熱くなる。
こんな感覚は何年ぶりだろうか。
「おい……何泣いてんだよ……将樹……珍しいな……」
「約束しただろ……死なねぇって……」
「あぁ……そうだったな……」
伯父さんの息が薄れてきている。
目も少しずつ閉じてきている。
「俺に……『好き』って言わせるまでは死なないって……まだ言ってねぇよ……」
「……それは……どっちにしろ一生……無理だっただろうな……」
なんだよ……
約束を守らねぇのかよ……
初めから守る気無かったのかよ……
「ごめんな、将樹……一人にしちまって……復讐が終わったら……お前と一緒に……暮らすつもりだった……好きだから……」
「また……そんな冗談……こんな時に言うなよ……」
涙は止まらなかった。
止めようとしても止まらなかった。
こんなに泣いたのは赤ん坊以来初めてだ。
「将樹……死ぬ間際に……好きな奴の泣き顔なんて……見たくねぇんだけど……さすがに泣き止んでくれねぇか?」
誰のせいで……こうなってるって思ってんだよ……
俺は何故か抵抗なく伯父さんにキスをしていた。