第12章 味方か敵か
将樹side
伯父さんの後を追いかけ続け辿り着いた場所は、俺達が前隠れ家として使っていた所だった。
近くの物陰に身を潜める。
黒い格好で来て正解だ。
髪も黒髪にして良かった。
黒髪にした理由の1つがこれでもある。
以前の髪だと目立ってしまう。
政府の奴らにも特定されやすくなる。
伯父さんが歩みを止める。
「……キングさん……話があります。」
キング?
誰だそれ。
「王様〜呼ばれてるよー」
奥の方からだるそうな声が聞こえた。
少しずつ顔がハッキリと見えてきた。
先日俺らの前に現れた氷の能力者だ。
王様……?
「んー……なに?僕眠いんだけど?」
くそ、顔が見えねぇ。
「……あー、おじさんじゃん……何かいい情報でも入ったの?」
「……いえ。」
「はぁ?じゃあこんな時間に来ないでくれる?僕寝てたんだけど?」
「すみません。」
俺はどうにかして顔を見ようと目を凝らすが全然見えない。
「……俺、この計画からはずれます。」
「……何で?」
計画?
「あー!もしかして!甥っ子を守るため?」
「……」
俺を守る?
『仲間が危険な目に会ってたら命懸けでお前は守るのか?』
その言葉を思い出した。
「甥っ子の仲間を傷付けたと……聞きました。」
あの質問……そういうことだったのか……
「なるほどね……あんただけは違うと思ってたんだけどな……政府に復讐したいから協力させてくれって言ってきたときは驚いたけど。」
伯父さんはスパイだったって事か。
「少しの犠牲だって我慢するって約束だったはずだけど……僕らには古賀樹輝が必要だって言ったよね。アイツの力があれば政府……いや、世界滅ぼすのだって簡単なんだよ。その為にはアイツの周りにいる奴らが邪魔なの。協力してくれるなら別だけど。100%ないから。」
見えなかった声の主が伯父さんに近づいてきた。
そして耳元に話しかける。
「あんたも普通の人間と一緒だね。ガッカリだよ。」
その顔は俺もよく見たことある顔だった。
青と黄色のオッドアイ……
ヒカルだった。