第12章 味方か敵か
将樹side
「ただいま。」
誰もいない家に一人で暮してる筈なのに……
「おー、おかえりー!」
「まだいんの……早く帰ってよ。」
「いいじゃん!そう言わずに!俺の可愛い将樹ー!」
そう言ってオッサンが俺に飛びつこうとしてくる。
それを蹴り倒す。
「誰があんたの可愛い将樹だ……気持ち悪い。」
「ひっどい……」
この人は俺の伯父。
つまり、親父の兄。
何故か5日前から俺の家に住み着いている。
伯父さんはまだ独身で結婚する気もないらしい。
気がついたら何処にも居なくなってると聞いた。
どうせ、気まぐれな人だ。
旅にでも行ってるんだろう。
そう思っていた。
「将樹ー、今日の晩飯はー?」
今日も泊まる気満々かよ。
「早く帰れ。」
と言いつつも……
「……また2人分作ってしまった……」
「美味そー!いっただきまーす!」
何やってんだろ……俺は。
「そう言えばさ、何で将樹は黒髪にしたんだ?」
「何となく。」
「ふーん……そっちの方が似合ってるぞ!」
「う、うっせー////」
正直、伯父さんには会いたくなかった。
親父に似てて思い出しちまうから。
「学校どうだ?」
「別に……」
「……最近仲良くなった樹輝君だっけか?どうなんだ?」
「今まで通りだよ。」
伯父さんには能力の話はしている。
親父の能力の事についても知ってた。
「……昨日の夜……遅かったな、帰ってくるの。」
「……それがなに?」
「何かあったのか?俺はお前の親父代わりみたいなもんだから……ちゃんと言えよ。」
「……」
伯父さんは親父が居なくなった俺によく話し相手になってくれていた。
初めは鬱陶しくて近づいて欲しくなかったが、話していくうちに親父と伯父さんが重なって、親父が近くにいるような感覚だった。
それが嬉しかった。
けど……今となってはあまり親父の事は思い出したくない。
後悔しかないから。
親父との別れが喧嘩で終わるなんて。
もっと話したいことだってあったはずだ。
それをよく伯父さんに話していた。