第12章 味方か敵か
樹輝side
「晃!手貸せ!」
海堂の手は凍ったままだった。
「大丈夫です……」
「大丈夫じゃねぇだろ!ほら!早く!」
颯太は炎を出し海堂の手を温める。
少しずつだが溶けていってるようだ。
「こんな事したら颯太さんの体力が無くなります。」
「んな事……どうでもいい。お前の腕が無くなるよりはマシだろうが……ほんと何やってんだよ……急に間に入って来て……」
「恋人が!あんな事を他の奴に目の前で言われていたら黙っておく訳ないじゃないですか!それに!下手したら死んでましたよ!?」
「……ごめん。」
海堂の手は颯太の能力のおかげで無事に済んだ。
颯太はギリギリ帰るまでの体力はあるようだ。
「将樹、さっきは助かった。ありがとな。」
「あぁ。」
「……けど、俺はお前らの命の方が心配だ。俺はどうなってもいい。俺の為に命掛けて死んで欲しくない。」
「何言ってんだ。俺は俺がそうしたいからやってるんだ。それに颯太やヒカルだってお前が離れて欲しくないから必死に守ろうとしたんだ。自分がそうしたいからやってる。お前だってそうだろ。ヒカルがまた施設送りになったら命掛けでも助けに行くだろ?」
俺は何も言えなかった。
将樹の言う通り、俺は命掛けでヒカルを助けるだろう。
「……そうだな。ありがとう。」
「……忘れるな。俺らは仲間だ。」
「あぁ。」