第12章 味方か敵か
昂side
愛美と夜道を歩く。
2人っきりだ。
「愛美〜、いつになったら付き合ってくれるんだよ〜」
「あなたとは付き合わない。」
「うわ、冷た……でも、そういう所も好きなんだよな〜」
「変態。」
いつもの道をいつものように歩いていた。
けど、少し暗い?
月だって出てなくて、明かりは街灯だけ。
「「っ!?」」
愛美も俺も気配を感じ背中合わせで構える。
「……愛美、見えるか?」
「いいえ……けど何かいる。」
何かいるのは分かるが姿が見えない。
どこだ?
木の影の方から気配があるな。
じっと見つめていると……
「愛美!」
愛美の腕を横に引っ張る。
それと同時に俺の頬を掠めた物を素手で掴んだ。
血が出てる……
ナイフか。
もしあと一歩反応が遅れていれば、愛美は死んでたかもしれない。
「誰だ!出てこい!」
僅かだが足音は聴こえる……
姿が見えないって事は透明になれるのか?
そこか!
何となく感じ取った場所に先程のナイフを投げる。
「へー!君凄いね!私の場所がよく分かったね!」
そう言って姿を現したのは俺らより少し歳上位の女。
もしかしたら20超えてるかも。
「何の用だ?」
「うーん……ある人物探しに来たんだけど……ハズレかぁ……君達にはもう用はないから脅かしてごめんねー」
「待てっ!」
俺が止めようとした時、目の前に雷が落ちた。
愛美だ。
「おっと……危ないね!君!殺す気!?」
「そのつもりで打った。」
愛美は女を殺気立った目で睨みつけていた。
「へー……その目嫌いじゃないよ……5分だけ付き合ってあげる!」
そう言って女は再び姿を消した。
「昂、下がってて。」
「いや、俺も」
「これは私の戦い。邪魔しないで。あの女何かムカつくから。」
「お、おぉ……」
あれ、愛美ってこんな怖い顔するっけ?
いや、普段もちょっとむすっとした顔だけど……
まぁ怒った顔も可愛いからいいか。