第12章 味方か敵か
樹輝side
「強いのは1人だけか……」
上から声が聞こえる。
不気味な男の声。
上を見上げると、電柱の上に俺らと同じくらいの年の男が立っていた。
能力者だ!
「うーん……1、2、3……4人?あー、あんたか。」
俺を見て不敵な笑みを浮かべる。
「イツキ、降ろして。」
「何言ってるんだ。お前立てねぇだろ?」
「立てる……お願い。」
俺はゆっくりとヒカルを降ろす。
少しふらつきながらも何とか立つ。
「古賀樹輝……あんたさ、ついてきて欲しいんだけど……」
ヒカルは俺の前に立つ。
「だめ。イツキは行かせない!」
「あー……ほんとにあの人にそっくり。」
あの人?
「いっくん……後ろに下がってて……」
「樹輝……離れてろ。」
颯太と将樹も俺の前に立つ。
「あーもう……ムカつく……無駄に体力使わせないでよね!!」
その男は目を白金に輝かせ周りに氷のナイフをいくつも生み出す。
氷使いか……
しかし、あんな数……避けられない!
そう思った瞬間――――
「だったら無理矢理にでも付いてきてもらうよ!」
右手を伸ばし、右に腕を突き出した。
それと同時に氷のナイフが俺達目掛けて飛んで来る。
ボウ!
っ!?
目の前に炎が上がる。
颯太が俺らを守ってくれた。
「氷……俺にとって好都合だね!」
そう言って笑顔をつくり自信満々に瞳を紅く輝かせる。