第12章 味方か敵か
樹輝side
ヒカルは颯太の手当てをしていた。
颯太は昂との手合わせで体がボロボロだ。
「アイツ、水の能力者なのになんでこんなに傷付けれんだよ……意味わかんねぇ……」
颯太はヒカルと話しながら治療を受けている。
確かに水って液体だからそんなに傷は着かないはず。
いったいどうやって?
すると、俺の隣にいた昂が前に出て颯太の所へ向かった。
「それはね、スピードだよ。水の噴射や動きを速めることで切れ傷くらい付く。簡単に。」
「どれくらいの速さなんだ?」
「そうだな……」
昂は顎に手を当て何かを考える様子だった。
けど、すぐに「あっ!」と思い出し、人差し指をピンッと上に向け出した。
「この前、新幹線と競争したら余裕で勝ったよ?と言っても俺の生み出す水はそんなに遠くまでは届かないけどね!」
新幹線!?
颯太も同じ反応だ。
「は?!なにそれ!」
「能力は少しした工夫でかなり変わるから。だから颯太も色々試してみるべきじゃないかな?」
「た、例えば?」
「うーん……今まで攻めしかしてきてないだろ?だから、たまには防御とか?」
「防御?でもどうやって……」
昂はニヤっと笑って
「俺の見せてあげる。試しに颯太、何か攻撃してみてよ。」
「お、おぉ……」