第12章 味方か敵か
樹輝side
俺は目を覚ましてから、昔の事をほぼ思い出していた。
怒りもあるが、それ以上に自分の弱さを思い知って悔しい思いが募った。
毎日欠かさず筋トレをして、将樹にも戦い方を教えてもらったりした。
たまに海堂に相手をしてもらった。
コイツがこんなに強いとは知らなかった。
将樹とどっちが強いか昴と話した。
昴は将樹と晃、どっちとも相手をしたことあるらしいが恐らく将樹だろうと言っていた。
ただ、あまり変わらないらしい。
「お前さ、能力使わなねぇの?使った方が強いんじゃね?」
「あまり使いたくない。正直、記憶なくなるから怖いんだ。自分じゃ制御できない。」
「……だったら制御できるようにしたらいいのに。」
「……出来たらいいんだけどな……俺の場合は止めることさえ難しいんだよ。」
昴から話しかけられる。
俺はアレから能力は塞いでいる。
また気を失ったらヒカルにも迷惑かけるだろうし。
そう言えば、ヒカルが人の怪我を治すことができるようになったとか言ってたな。
これで少しでも「生きたい」と思ってくれればいいんだけどな。
「樹輝、お前少し強くなったな。」
「そうか?」
「周りをよく見るようになってきた。体の動きも良くなってきたし。」
自分では正直分からない。
けど、何となく動きが軽くなってきた気がする。