第11章 つり合わない
颯太side
「アイツどこ行った?」
晃の後を追っていたが見失った。
腰の激痛を堪えながら探していた。
「颯太か?何やってんだ?」
「!将樹くん!あのさ、晃見なかった?」
「晃……海堂のことか。それならさっきあっちの方で誰かと話してるの見たな。」
「っ!ありがと!あっ」
走って向かおうとしたら腰の痛みで転けてしまった。
「?大丈夫か?ほら、肩貸してやる。」
「ごめん……」
将樹君は俺を晃の所まで連れていってくれた。
どこからか声が聞こえて来た。
晃達だ!
そっちに向かうと晃達は殴り合いしていた。
相手は血だらけだ。
いくらなんでもやりすぎ……
「何やってんだ、アイツら……」
将樹君も驚いている。
「晃!もう止めろ!それ以上したら!」
声が聞こえてないのかやめる気配がない。
どうしよ……あのままじゃ殺しちゃう……
「……颯太、ここで待ってろ。」
「え?」
将樹君が俺を離し、晃たちに近づいていった。
何する気だろう。
「おい、海堂!」
「?将樹先輩?」
「やりすぎだ。それ以上はやめとけ。」
「……あなたには関係無いですから引っ込んでてください。」
晃は1度止めた手を再び動かし始めた。
「海堂、もうやめとけ。」
将樹君は後ろから晃の首元に刺激を与え気絶させた。
良かった、止まった。
俺は慌てて敦君たちのもとに駆け寄り携帯の中から例の動画を探しだして削除した。
まだSNSには投稿されてなかったようだ。
「将樹くん、ありがとう。でも何で……」
「もし警察沙汰になれば政府の奴らも嗅ぎつける。さらに海堂だってバレればお前の事まで知られて最終的に俺らの事がバレる可能性だってある。政府の奴らはどんな手を使ってでも能力者を手に入れようとするんだ。僅かな可能性があれば疑い、探り出す。特にお前らは顔がバレてるんだ。」
「あ……」
「そんな事にはなりたくない。他の奴らを巻き込めねぇだろ。」
「……そうだね。ごめんね、ありがとう。」
そうだよ。
少しでも目立たない様にしないと……
後で晃にも注意しておこう。