第11章 つり合わない
颯太side
あったかい……
「あ、目覚めましたか?」
海堂の背中……
おんぶされてる……
「丁度家に着きました。」
ここって……海堂の家……
「家族に見られるのは嫌かなと思い……ごめんなさい勝手に……」
「……」
何でだろ……声が出ない……疲れてるのかな。
俺、ちゃんと服も着てるし……
「颯太さん、風呂貸しますからシャワー浴びてどうぞ。気持ち悪いでしょうし。」
俺は何も言わずに風呂場に向かった。
あの後どうなった……
俺の動画は?
服を脱ぎシャワーを浴びる……
まだ中に出されたのが入ってる……腰も痛い。
気持ち悪い……
取り出さなきゃ……
指を入れ掻き出す。
大量の白い液体が太ももからふくらはぎへと垂れ流れて落ちていく。
「うっ……うぇ……」
飲み込んだ分が胃から戻ってきて吐き出してしまった。
「はぁ……はぁ……くそっ……なんなんだよ……なんなんだよ!!」
俺は叫んでしまっていた。
それがどういう気持ちなのかは自分でも分からなかった。
ただ、色んな感情が混じりあっているのは分かった。
怒り……憎しみ……悲しみ……
「うっ……あぁぁぁぁ!!」
シャワーの音と自分の叫びが混じりあって浴室に響いた。