第11章 つり合わない
颯太side
「うぅ……」
「……お前、日に日にクマが酷くなってきてるな。」
「えっ嘘っ!?最悪……」
「……寝れてねぇのかよ。」
「うん……」
いっくんには別れたことを一番に伝えた。
もちろん理由も。
「そんなになるくらいなら別れるなよ。」
「でも……」
「ホントはまだ好きなんだろ?無理すんなよ。それに釣り合わないとか考え過ぎなんだよ。暫くは俺たちの集まりにも来るな。」
「……うん……」
前の隠れ家が襲撃され、1週間前から新しい場所に集まってる。
廃墟だ。
最近は能力発動のコントロールができるようになってきた。
「もう1度ちゃんと考え直せ。何が正しいかなんて分からねぇけど、その瞬間が幸せならそれが正解だと俺は思う。」
その言葉に何か背中押された気がする。
もう1度考え直す……
「うん、ありがと。いっくん。考え直してみるよ。じゃあ、また月曜日。」
「おう。」
俺はいっくんに手を振り家までの帰り道を1人で歩いた。
だいぶ暗くなるのが早くなってきたな。
……海堂と離れて、こんなにボロボロになるなんて思ってもなかった。
やっぱり俺は海堂がいい。
海堂にもちゃんと本当の事言おう。
「あ、颯太先輩!」
えっと確か……
「敦くん?」
「俺の名前覚えててくれたんですか?!嬉しいです!」
こいつらほんとチャラチャラしすぎ……
もっと海堂みたいに大人しい格好しろよな。
「この後何か予定とかありますか?」
「いや、特には。」
「じゃあ。ちょっと俺らに付き合ってくださいよ!ね?」
いいとも言ってないのに腕を引っ張られていく。
まだなんも言ってねぇんだけど……
……まぁ、いいか。
ちょっとくらい。
――――この時、断っておけばよかった、無理やりにでもこの手を振り払って――――――
――――そしたらこんな事にはならなかったんだ――――