第11章 つり合わない
颯太side
「う……ひっく……」
何泣いてんだ……俺……
自分から振っといて。
家に帰ってきて、即自分の部屋に入ってきた。
こんな姿家族見られたくない……
扉に背を預け泣き崩れてしまった。
「うぅ……ごめん、かいどう……」
スマホを取り出し、連絡先の所を開き海堂の電話番号に触れる。
『削除しますか?』
『はい』と『いいえ』の選択肢が出てくる。
俺と海堂が出会った日……初めは驚きと動揺しかなかった。
けど、何故かどんどん惹かれていって……
いつの間にか好きになって……
一緒にいる時間が楽しくて……
喧嘩もしたけど、やっぱり離れられなくて。
こんなに人を好きになったことは今までにあっただろうか。
いっくんの事はかなり好きになってた。
けど、それとは違う。
海堂との思い出を振り返る。
どれもいい思い出ばっか……
「バイバイ……」
そう言って何故か重みを感じていた『はい』を選んだ。
もう、普通の人間との恋はやめよう。