第11章 つり合わない
颯太side
海堂に抑えられ身動きが取れない。
シャツもボタンを外され乱れている。
「この前、後ろの方は3本入ったんで、今日は入れたいです。逃しませんから。」
「やめっろって!////」
キスされそうになる。
だめ、ここでキスしたら……
逃げないと!
「やだっ!」パシンッ!
海堂から抑えられていた腕を解き、ビンタした。
掌がジンジンと痛む。
かなり力が入ってしまったようだ。
海堂は痛かったのか左の頬を抑えたまま動かない。
俺は乱れた服を着直す。
「……颯太さん……どうしたんですか?元気無いですし。何か悩みでもあるんですか?……目も全然合わせてくれないし……」
これは……チャンスかもしれない。
このタイミングで……言った方が……
……駄目だ……一言目が出ない……
「颯太さん?」
言え、自分の口から!
「俺ら……
もう別れよう。」
「……え?何言って……」
「別れよう。海堂。」
海堂の顔が見れない。
「俺何かしました?だったら謝ります!」
「そんなんじゃない。」
「じゃあ、他に好きな人がいるとか?」
「……違う……」
「じゃあ、なんで!」
声が震える。
目も熱い。
「俺が悪いんだ……気にすんな。……じゃあな。」
俺は海堂に背を向け部屋を出ようと扉に手をかける。
「……せめて目見てくださいよ……」
「……じゃあな。海堂。今までありがとう。」
今までにないくらいの笑顔で海堂の顔を見てそう言った。