第11章 つり合わない
颯太side
「颯太さん、ごめんなさい……腕大丈夫ですか?」
「うん……平気……」
家の前に着くと海堂が俺の腰に手を回し引き寄せた。
真剣な顔してる。
「海……堂?////」
海堂は俺に顔を近づけキスをしようとしてきた。
「まっ……て////」
握りしめられた左手が物凄く熱い。
やだ……駄目……
ボウ!
「熱っ!」
「あっ!ごめっ!」
キスされる前に能力を発動してしまった。
無意識に……
まただ……あの日と一緒……
海堂は悲しそうな顔してた。
「……いえ、俺もすみませんでした。怖かったですよね。こんな痣までつけちゃって……」
怖かった……正直そうだ。
海堂が海堂に感じなかった。
俺の知ってる海堂じゃなかった。
「……お前……誰?俺の知ってる海堂じゃない。正直、怖かった。」
「……俺は……海堂晃です……すみません、もう帰りますね。じゃあ、また明日。」
「……」
俺は海堂に挨拶を返せなかった。
手さえも振ることが出来なかった。
このままだと……駄目だ……
少しずつでも海堂から離れないと……
けど……やっぱ出来ない。
だって、好きなんだ。
さっきの海堂だって怖かったけど……でも好きだ。
「やだ……離れたくない。無理だよ……別れるなんて……出来ない。」
分かってる。
離れないといけないことは。
でも、口に出そうとすると、目が熱くなって言えない。
もう、俺は海堂がいないと駄目な体になってる。
次こそは……ちゃんと伝えなきゃ。