第11章 つり合わない
颯太side
久しぶりに海堂と帰ることになった。
下駄箱で海堂を待つ。
周りには誰もいない。
もう秋だ。
門から校舎までの並木道を紅葉が真っ赤に染めている。
綺麗だ、全然気づかなかった……
風も少しずつ冷たくなってきた。
俺も、そろそろ受験か……
行きたい大学は決まった。
将来は教師になろうと思ってる。
保育士も悪くない。
けど……給料とか考えたらやっぱり学校教師がいいかなって思う。
……それにしても少し肌寒い……
海堂まだか?
「あ!颯太せーんぱい♪」
声を掛けてきたのは海堂の教室にいた男子。
他にも2人いる。
名前……知られてる……後輩ちょっと怖い。
「?あーさっきの……何?」
「誰か待ってるんですか?」
すっごい笑顔だ。
「まぁ……」
「へぇ……彼女とか?(笑)」
「なっ!////」
「うわ、赤くなった(笑)」
「先輩、わかりやすい(笑)」
もうやだ……
こういう奴等俺、苦手なんだよな。
早く海堂来てくれねぇかな……
「先輩、俺たちとちょっと遊びに行きませんか?」
「え……」
腕を掴まれる。
ちょっと痛い……
力が強いな……
そのまま引っ張られる。
「ちょ、待って!」
「ほら早く!」
「い、痛いって!それに俺人待ってるから!」
そんな言葉を無視して引っ張り続ける。
能力発動したら助かるんだけど……流石にバレたらマズい……
やばい……どうしよ……
ほんとに痛い……
どうしようか考えてる時……
パシッ!
反対の手を誰かに掴まれる。
「っ!海堂っ!」
よかった!
来てくれ……っ……
顔が怖い……こんな顔初めて見た。
しかもこいつも手に力が入ってる……痛い……
両手が痺れてきた。
どうしたんだよ、いったい。