第11章 つり合わない
颯太side
仲直り出来たのはいいけど……
俺らこれでいいのかな?
いっくんの両親みたいになりそうで怖い。
海堂には迷惑なんてかけられないし……
「……上手くいかなかったのか?」
「ううん、そんなんじゃないよ。……俺たちこれでいいのかなって……人間と能力者、つり合わない関係だから。いっくんの両親もそうだったように……っ!」
しまった!
あまり口に出さない方がいいのに!
慌てて口を手で塞ぐ。
「気にすんな。もう大体は思い出したし。気にしてねぇから。」
「ごめん……」
思い出したんだ。
きっと俺より辛いよね。
「で?俺の両親?が何?」
「ううん!何でもない!自分で考えるから大丈夫!聞いてくれてありがとう!」
「そうか。」
「てかさ、いっくん何か変わったね。」
「?」
「前までは俺の話なんてめんどくさくて聞きもしてなかったくせに、今じゃ自分から聞いてくれるし。……ヒカルが来て変わった。」
「……どうだろな。まぁ、何となく以前より生きてるのが楽しく感じてきた。」
「……そっか。じゃあ、ヒカルとの出会いは正解だったんだね。」
いっくんとヒカルは出会っていい方向に進んでる。
お互いが何か大切な事に気づいて一生懸命生きてる。
けど、俺たちは何も得てない。
ただ、自分たちの欲求を満たしているだけ。
……決めた……
「ありがと、いっくん。決心が付いたよ。」
「俺なんもしてねぇよ。」
「話聞いてもらえたから。」