第11章 つり合わない
颯太side
誰もいない中庭にやって来た。
「ここでいいですか?」
「うん……」
何か急に緊張してきた。
海堂と向かい合う。
勇気を振り絞って……
「ごめん!」「ごめんなさい!」
っ!
声が重なった。
同じ言葉を同時に発した。
2人とも驚いて目を丸くした。
けど、海堂が口を先に開く。
「酷い事言ってしまいました。あの時俺どうかしてました。大事な友達を心配するのは当たり前ですよね。ほんとにごめんなさい。」
海堂は深く頭を下げる。
「俺も……悪かった。他の奴の事考えるとか……最低だよな。ごめん。」
お互い頭を下げて謝る。
俺ら小学生みたい。
「ぷ、ははは(笑)」
海堂が笑い出す。
確かに何か変な状況。
「颯太さん……」
「海堂?」
強く抱きしめられる。
暖かい。
久しぶりだ。
やっぱり安心する。
俺はこの温もりを忘れられそうに無い。
きっとこれから海堂と別れることになっても、俺は忘れないと思う。